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2015.08.13 Thursday

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    「国境に分断されている山地民」にみる民族文化のこれから

    2014.12.09 Tuesday

    今日ご紹介するのは、中国と国境を接する東南アジアの国々
    ベトナム・ラオス・タイ・ミャンマーの山岳地に生活している
    数多くの民族を紹介している「国境に分断されている山地民
    という写真集。

    「身体装飾の現在」シリーズということで、それぞれの民族の民族衣装や、
    装飾品を中心に撮影されています。

    国境に分断されている山地民

    中国雲南省のヤオ族(タイではミェン族)の細かな刺繍で埋め尽くされた
    民族衣装のズボンや頭に飾る装飾品(写真下)。

    ▽ミェン族の人たちの刺繍の技術や文様については、
     織り人ブログのミェン族についてをご覧ください。

    国境に分断されている山地民

    ラオスのモン族の人たちの襟やベルト、頭飾りなど(写真下)。

    ▽両端に刺繍が施されたピンクのベルトについては、
     以前、織り人ブログでご紹介しました。
     「モン族」についてをご参照ください。

    国境に分断されている山地民

    ラオスとミャンマー国境に接するタイ北部のアカ族の人たちの帽子(兜)。

    ▽タイ北部のアカ族の人たちの帽子(兜)については、
    『織り人』ブログのアカ族についての中でまとめています。

    国境に分断されている山地民

    2010年に出版されたこの本の写真の中には、観光で生計を立てている
    観光村で撮影されたものや、正月や結婚式、村での行事などの際に、
    その日だけ、民族衣装を着ているところを撮影したものも多く見られます。

    著者は、何年も前から同地域をまわり、撮影を続けているようですが、
    その間に、お歯黒や体の入れ墨などの風習は、ほとんど見られなく
    なってきているといいます。

    民族衣装についても、機械で刺繍された刺繍リボンを
    縫い合わせて作っていたり、刺繍やアップリケしたものを
    写真製版でプリントした化繊の生地でスカートを作っていたり。

    異なる民族間での結婚も進み、どちらの民族衣装を身につけるのか、
    自らのアイデンティティをあらわす手段が変化していき、
    民族衣装を着続ける意味自体が薄れてきていると。

    こうして書くと、そうした現象を嘆いてるかのようになりますが、
    大抵は、そうした過程を経てきた人たちが、こうした変化を嘆くのであって、
    でもこれは、経済発展と共に、遅かれ早かれ、起こることであって、
    この写真集で取り上げられたような地域でも、普段着の民族衣装を
    見ることはむずかしくなっていくことでしょう。

    それは、晴れ着として特別の日にだけ着るものとして残り、その他は、
    博物館のガラスケースの中でだけ見ることができるものになるのでしょう。

    でもそれは必然の流れであって、誰にも止められないものです。
    だからこそ、その流れの真っただ中にあるタイの中で、
    それぞれの民族文化が、どういう形で残っていくのか、
    残していくべきなのか、タイ国内外の人たちが、
    考え始めているのだと思います。

    『織り人』も、その中の一人として、何かよい形を作っていけたら、
    そう思っています。

    織り人

    出典:「国境に分断されている山地民 中国・ベトナム・ラオス・タイ・ミャンマー」
       井上耕一著(写真・文) 朝倉書店
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      「少数民族の染織文化図鑑−伝統的な手仕事・模様・衣装」

      2014.12.08 Monday

      最近、図書館で見つけた本。
      「少数民族の染織文化図鑑−伝統的な手仕事・模様・衣装」という本。

      中には、アジア、アフリカ、中南米の民族ごとの染めや織り、刺繍などの
      手仕事が写真いっぱいに紹介されています。

      少数民族の染織文化図鑑

      その中でも、パリ在住の日本人の絵本作家さんによる民族衣装のイラストが、
      それぞれの民族の手仕事のすばらしさをより一層引き立て、それぞれの特徴を、
      より細かくあらわしてくれています。

      少数民族の染織文化図鑑

      上の写真は、モン族(ベトナムの花モン族)の民族衣装のイラストです。

      花モン族の民族衣装の特徴であるたくさんのプリーツの入ったスカートについても、
      詳細なイラストと細かな構造の解説により、民族の特徴の理解をより深めてくれます。

      下の写真は、ヤオ族(ベトナムの赤ヤオ族:タイではミェン族)の民族衣装。

      ヤオ族(ミェン族)が得意とする本当に細かな刺繍文様も、
      とても精巧に描写されています。

      少数民族の染織文化図鑑

      パナマの先住民族「クナ族」の人たちのリバースアップリケは「モラ」と呼ばれ、
      この技法は、アジアのモン族の人たちも得意とする「リバースアップリケ」と
      同じ技法です。

      「モラ」の鮮やかな色合いと、細かな手仕事の様子も、
      たくさんの写真とイラストで紹介されています。

      少数民族の染織文化図鑑

      著者が、この本の初めに書いているのは、

      ”「外見で物事を判断してはいけない」ということわざとはべつに、
      本のカバーをみて中身を判断できるこもある”と。

      ”どんな服を着ているかは、身分や職業の表現にもなる”

      民族衣装というものは、そういうものであり、
      衣類は、体を覆い保護するという本来の役割とは別に、
      それそのものが民族の歴史であり、文化の集結なのだと思うのです。

      ベトナム人であるか、タイ人であるか、ラオス人であるかという
      ”国籍”は問題ではなく、彼らの身につけている洋服を見るだけで、
      モン族であったり、ミェン族であったり…、その衣装から
      判断することができるのです。

      ”人は見た目ではなく中身だ”とよくいいますが、”見た目”が
      物語る”その人”は大きいと思うのです。
      見た目も含めて、”その人”であり、その人の生きざまを判断する
      大きな要素の一つだと思うのです。

      織り人


      参考書籍:「少数民族の染織文化図鑑 伝統的な手仕事・模様・衣装」
           カトリーヌ・ルグラン著/福井正子訳 柊風舎 
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        モン族の歴史を綴る物語「メコンに死す」

        2014.11.01 Saturday

        私自身が、モン族のことにのめりこむようになった1冊「メコンに死す」。
        原題は、「Chao Fa(チャオ・ファー:空の民)」。

        もともと、モン族の染め織りや刺繍などには関心を持っていたのですが、
        モン族の人たちの”移住の歴史”を知らないでは、何もわからない、
        モン族だけでなく、それぞれの民族の背景をより知りたいと思うように
        なったきっかけの一冊です。

        本書の冒頭には、”これは、ラオスにすむモン族にまつわる物語であるが、
        登場人物、日時、場所および出来事は、すべて作者の想像の産物である。

        もし、登場人物の名前が、生死を問わず現実の人間と合致したところが
        あったとしても、あるいはまた、出来事が実際にあったことと同じであって、
        それはまったく偶然によるものである”

        と書かれています。
        しかし、内容は史実に基づくもので、ラオスのモン族が、ベトナム戦争当時、
        アメリカCIA側と共産国側、左派と右派とに分かれ、同じモン族でありながら、
        戦うことになってしまった歴史が、一人のモン族の少年の目を通して、
        時間の流れに沿って、実在する人物とともに描かれています。

        作家山崎豊子氏のような”事実に基づいて再構築されたフィクション”
        小説として、チェンマイ出身のタイ人作家によって描かれた物語です。

        メコンに死す

        当時、モン族については、”単に戦い上手な山岳民族”、アメリカの傭兵程度の認識で、
        戦況を伝えるニュースの中では、ほんの小さなニュースであったといいます。

        そんな中、モン族の目から見た戦争の”背景”、そのために亡くなっていった
        多くの”個人の小さな人生”を綴った本書は、国内外で高い評価を受けました。

        今年のタイ訪問の際に、北部のあるモン族の村で、どうしてこの村へやって
        くることになったのかという話を、少しお聞きする機会がありました。

        私にとっては、本で読んだような歴史上の出来事が、実際にその村で起こっていて、
        今も、その歴史の中に生きているのだということを知り、その村の一人ひとりに、
        その歴史の中で生きてきた”小さな生活”があるのだということに、今さらながら
        衝撃を受け、自分の中で、急激に身近なものになっていきました。

        その村で作られている刺繍やアップリケの布は、そういうモン族の長い歴史から続き、
        個人の今の生活の中で生きているもので、それは、すごいことだと思うのです。

        様々な厳しい状況の中でも、その当時の一人ひとりがつなぎ、今に伝えている
        人の営み、手仕事があるということ、その中で何かよいものを作り伝えたいと
        考えている”個人の想い”を、しっかりと形にして伝えていけたらいいなぁと
        思っています。

        織り人


        参考図書:「メコンの死す」 ピリヤ・パナースワン著
              桜田郁夫訳 めこん 1987年発行
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          「ディアスポラの民モン−時空を超える絆」

          2014.10.27 Monday

          最近、本のご紹介ばかりになっていますが…、本日も一冊。

          ディアスポラの民モン‐時空を超える絆」というモン族に関する本。
          昨年、発行されていた本で、ずっと気になっていた本です。

          ラオスのモン族の一派は、ベトナム戦争時にアメリカCIAに雇われ、
          共産主義勢力と戦い、戦争終結後、共産政権の報復を逃れ、
          タイの難民キャンプへたどり着きました。
          そしてその後、多くのモン族が、アメリカやフランスなど、
          第三国へ渡りました。

          2009年時点の推定で、アメリカに20万〜25万人、フランスに1万5千人〜2万人、
          その他、オーストラリアやカナダ、ドイツ、アルゼンチンなど、世界規模に
          広がっています。

          祖国を持たないモン族が、新しい土地で、どのように”モン”という
          アイデンティティを保ちながら、モンコミュニティを維持してきたのか、
          モンの人たちが一番大切にしている家族や親族との絆、そして、
          ”モンであること(Being Hmong)”、”モンらしさ(Hmongness)”
          へのこだわりなどを、第三国定住として、アメリカ、フランス、そして、
          オーストラリアへ渡ったモン社会での事例を挙げ、まとめられています。

          ディアスポラの民モン 時空を超える絆

          表紙を開くと、モン族の生活のワンシーンやモン族の移動の歴史を刺繍した
          「ストーリークロス」の写真でした。

          「ストーリークロス」については、こちらの織り人ブログ記事へ。

          この本の中では、「フラワー・クロス」と「ストーリー・クロス」が、
          世界中に散らばったモン族の人たちに、”モンであること”、”モンらしさ”
          を共有させる役割を担っているとしています。

          *「フラワー・クロス」とは、『織り人』では「リバースアップリケ」、
           「ストーリー・クロス」とは、「ライフシーン刺繍」と呼んでいるものです。

          どちらも、モン族の人たちが得意とするアップリケや刺繍の技法をいかして、
          タイの難民キャンプ内での生活の中で生まれたものです。

          ディアスポラの民モン 時空を超える絆

          難民キャンプでの限られた環境の中、女性は得意な手仕事で収入を得ることが
          できるようになり、畑仕事や狩猟などができなくなってしまった男性は、
          えんぴつを使ったことのない女性に代わって、刺繍の下絵を描くようになり、
          製作は、男女で分業しておこなうようになっていったといいます。

          確かに、『織り人』で「ストーリー・クロス」をお願いしているところでも、
          下絵は、他の村の下絵を専門に描いている男性から購入していると言っていました。

          これらは、第三国定住がはじまると、アメリカやフランスの親族へ送られ販売され、
          タイに残るモン族と第三国のモン族との経済的なつながりとなり、”モンであること”
          を改めて再認識する役目ともなり、より強い絆が作り上げられているといいます。

          これは、現在タイの難民キャンプのカレン族の人たちの間でも同じことが起こっており、
          難民キャンプ内、または、その周辺のカレン族の村の多くでは、織られた布は、
          第三国の家族や親戚へ送られています。

          日本語での文献は少ないですが、第三国へ渡ったモン族についての調査は、
          欧米諸国では盛んに行われるようになってきています。
          また、第三国で生まれ育った2世、3世の若者たちが、自分たちの言葉で語り、
          自分たちの考えで行動し始めています。

          モン文化の中で生きてきた親世代と、モンでありながら全く異なる文化の中で
          生きている子ども世代との間で、”モンであること”の捉え方が、大きく変化して
          きていることを感じました。

          織り人

          参考書籍:「ディアスポラの民モン 時空を超える絆」吉川太惠子著 めこん
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            移住を繰り返してきた「ハニ族の生活誌」

            2014.10.22 Wednesday

            民族の移動について、いろいろ調べていて出逢った本
            「雲南省ハニ族の生活誌」。

            中国雲南省といえば、今年8月にはマグニチュード(M)6.5の地震が発生し、
            600人以上が死亡したと伝えられ、また、今月7日にも、M6.6の地震が起こり、
            18万人が家を失うなどの被害が伝えられているところです。

            雲南省は、急峻な山々に囲まれた山岳地帯で、山の斜面に多くの家々が建てられ、
            大きな地震が起きると、想像以上に、甚大な被害となってしまいます。

            被害に遭われたみなさまには、お悔やみとお見舞い申し上げ、
            一日も早い復興を、心よりお祈り申し上げます。

            そんな山岳地である雲南省は、ミャンマー(ビルマ)、ラオス、ベトナムと国境を接し、
            日本とほぼ同じ面積の中に、25の民族が暮らしているとされています。
            中国全土の55の民族のうち、その半数近くが雲南省に集中していることになります。

            *実際には、統計に含まれていない民族も多数存在すると考えられています。

            雲南省ハニ族の生活誌

            タイの中には、「リス族」や「ラフ族」「ヤオ(ミェン)族」など、
            雲南省に起源を持つ民族も多く、この本のタイトルにある「ハニ族」は、
            タイ国内では、「アカ族」と呼ばれる人たちです。

            先日ご紹介した本「黄金の四角地帯」の「シャン文化圏」の中の一つの民族です。

            この本のサブタイトル「移住の歴史と自然・民族・共生」にあるように、
            以前ご紹介した「流動する民族」の中の「ヤオ(ミェン)族」や「モン族」
            と同様に、移住を繰り返してきた歴史がまとめられています。

            雲南省からのいくつかの大きな移住の流れがあり、その一部がタイ北部へ、
            たどり着いたと考えられています。

            千年以上にわたるハニ族の移住の歴史の中で、多くの民族との”遭遇と接触”、
            ”抗争と和解”を経て、また、標高1,800メートル以上という過酷な自然環境を
            居住地として選ばざるを得なかったハニ族が、どのように他民族や自然と
            共生しながら、自らの文化を守ってきたのかという点に注目しており、
            非常に興味深い本です。

            織り人


            ご紹介書籍:「雲南省ハニ族の生活誌‐移住の歴史と自然・民族・共生」
                   須藤護著 ミネルヴァ書房
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              「黄金の四角地帯」シャン文化圏の歴史・言語・民族

              2014.10.21 Tuesday

              最近、いろいろと調べているのが「黄金の四角地帯」。

              タイ北部には、「黄金の三角地帯」、「ゴールデントライアングル」と
              呼ばれる場所があり、ラオスとミャンマー(ビルマ)と国境を接し、
              世界最大のケシの栽培地で、アヘンの売買や密貿易がおこなわれるような、
              危険地帯でしたが、その後、アヘン撲滅政策などがおこなわれ、
              現在のタイ側は、一大観光地となっています。

              この3国に、中国(雲南省南部・西南部)を加えて、「黄金の四角地帯」
              と呼んでいます。
              この本は、この地域を「シャン文化圏」として、その歴史や民族について、
              調査し、まとめられたものです。

              「シャン文化圏」とは、厳密には線引きできないとしていますが、
              タイのスコータイ以北、ビルマ(ミャンマー)のシャン州・カヤー州・
              カレン州の一部・カチン州・ザガイン管区の一部・マンダレー管区の一部、
              ラオスのルアンプラバーン以北、中国雲南省のシップソンパンナー・
              徳宏を含む西南部および南部であるとしています。

              黄金の四角地帯

              この「シャン文化圏」というのは、ミャンマー(ビルマ)のシャン州だけを
              さしているわけでなく、その周辺のタイ、ラオス、中国雲南省、それぞれの
              地域にまたがるものですが、”国境”というものにより線が引かれたがために、
              1つの文化圏としての研究が、なされてこなかったことから、それを言語学的に、
              歴史的に、民族の分布から、1つの同じ文化圏であるということの証明を
              試みたものです。

              ありきたりな感想かもしれませんが、この該当地域をまわっていると、
              ”国境”というものが、なんて無意味なもので、ただ、”国”というものに、
              わけなくてはならないため、地図上で線を引いただけのものであるということ、
              そして、そこで生活している人たちにとって重要なのは、”国境”という
              境ではなく、民族、文化のつながりなのだと思うのです。

              ちなみにこの本は、以前図書館で借りてきていたものでしたが、
              価格を見ると9,000円+税。

              購入するのをためらっていると、Amazonのバーゲンブックとして、
              新品で2,000円で出ているのを発見!即購入したのです。
              おそらく、書店に長く置かれていたもののような感じがありましたが、
              一応、古本ではないようでした。

              最近は、Amazonで古本も扱うようになってきて、高価な本も、
              少し安く買えるようになり、時々のぞいては、掘り出し物を探したりしています。

              織り人


              ご紹介書籍:「黄金の四角地帯‐シャン文化圏の歴史・言語・民族」
                     東京外語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所
                     新谷忠彦 編 慶友社
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                ミャンマーのすてきな手仕事をめぐる旅

                2014.10.16 Thursday

                先日神保町の「アジア文庫」へ行ったときに買った本の1冊。

                ミャンマーのすてきな手仕事をめぐる旅」というタイトルで、
                表紙には、アカ族の刺繍の民族衣装の一部*が使われていて、
                店内に平積みされていて、すぐに目にとまりました。

                *中を読み進めると、子ども用の帽子の一部と紹介されていました。

                ミャンマーのすてきな手仕事をめぐる旅

                中には、ミャンマー(ビルマ)の街や村で撮られた写真が、
                たくさん掲載されており、誰でもが、ながめるだけ、
                楽しめるような本になっていますが、民族ごとの手仕事の
                特徴もまとめられていて興味深いです。

                ミャンマーのすてきな手仕事をめぐる旅

                エンの女性たちのおしゃれなビーズの耳飾りを撮影したもの(上写真)や、
                村や市場で見かけた民族ごとの特徴ある装いなど、魅力的な写真が、
                たくさん掲載されています。

                ミャンマーのすてきな手仕事をめぐる旅

                多くの民族で重宝に使われているカレン族のショルダーバッグと
                同じデザインのバッグいろいろの写真など、見ているだけで、
                楽しくなるような写真がいっぱいです。

                ミャンマーのすてきな手仕事をめぐる旅

                この本の後半部分には、上写真のショルダーバッグの作り方や、
                アカ族の脚絆(すねあて)と同じデザインの筒状のバッグの
                作り方を掲載しているページもあります。

                これ(下写真)は、著者が帰国後に、写真や書籍などを参考に、
                自らが作ってみたものだそうです。

                ミャンマーのすてきな手仕事をめぐる旅

                多くの山岳民族の人たちは、すねを守るために足に脚絆を付けることが
                多いのですが、多くはシンプルに無地の藍染めの布だったり、
                白い布のままだったりするのですが、アカ族の人たちは、
                脚絆にも、色あざやかな刺繍やアップリケを施しています。

                タイとベトナムのモン族の脚絆については以前の織り人ブログ記事へ。

                それを見た時に、これを筒状にしてバッグにしたらいいのでは?
                と思い付き、帰国後、作ってみたのだそう。

                小さな三角の布きれのまわりに毛糸を縫い付ける、アカ族の特徴的な技法
                についても、図解されています。

                ミャンマーのすてきな手仕事をめぐる旅

                直行便が運航するようになり、今、特に注目されているミャンマー。

                ビジネスだけでなく、作り手さんの様子を見に、地方の民族の村々を
                まわる観光も、自由にできるようになってきたのだなぁと、
                最近のミャンマーの変化に驚きながら、この本をながめていました。

                でもまだ、外国人の立ち入りが制限されているところも多くあり、
                政情もまだまだ不安定なところがありますので、無理はできませんが、
                そういう国だからこそ、隠れた魅力に、みな惹かれてしまうのですよね。

                『織り人』でお願いしているカレン族のバッグなどは、現在はタイで
                生活しているミャンマー(ビルマ)出身の女性がつくったものです。

                いつか彼女たちの故郷を訪ねる旅ができたらいいなぁ。

                織り人
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                  アジア文庫の本

                  2014.10.15 Wednesday

                  先日、久しぶりに、「アジア文庫」へ行ってきました。

                  学生の頃、よく神保町の古本屋街で、定価ではとても手が出ないような、
                  高額な本が格安で出ていないか、片っ端から、”宝さがし”のように、
                  歩きまわったものです。

                  その頃、「アジア文庫」にも、よく立ち寄っていました。
                  基本的には、定価販売で古本ではありませんが…。

                  「アジア文庫」は、アジア関連書籍だけを集めた専門書店で、
                  ビルの間の階段で、2階へ上がったところにあります。

                  初めての方だと、ちょっとわかりづらく、入りづらいかもしれませんが、
                  店内には、中国をはじめ、東南アジア、南アジア等々に関連する本が、
                  たくさん並べられています。

                  アジア文庫

                  私は、読書が好きというよりも、本そのものが好きで、自分の興味ある本が、
                  並べられているのがとにかく好きなので、店内に並べられている本を、
                  ながめているだけで、とてもわくわくしました。

                  それほど広くはない店内ですが、何時間でもいられそうです。

                  見るとついつい買いたくなってしまうので、気を付けないと…、
                  と思っていたのですが、やはり、どれもこれも欲しくなってしまいました…。

                  そんな中、今回はこの3冊に。

                  「日本語文型辞典(タイ語版)」は、タイ語の辞書かなと思ったのですが、
                  日本語を勉強するタイ人向けの文法辞書で、”〜ってば”、”〜っぽい”
                  ”〜とやら”など、日本語的な言いまわしをどうタイ語で言うか、
                  タイ語の例文がたくさん載っていて、かなり重宝に使えそうです。

                  アジア文庫

                  国境と少数民族」という本は、今年の7月発行の新しい本で、
                  ミャンマー(ビルマ)、ラオス、ベトナム、中国との”国境”域の
                  ”少数民族”と呼ばれる人たちの”今”を論考したものです。

                  これまで、国家から政治的、経済的、文化的に”国境”域に追いやられ、
                  不利な状況を余儀なくされてきた”少数民族”の人たちが、
                  今では、”国境”域という”開発や投資の恩恵”、”情報や技術の吸収”*
                  という意味では、最も最適な、最先端な、好条件な場所を得ることになった、
                  という、非常に興味深い切り口でまとめられているようです。
                  *「はじめに」より

                  ”ようです…”というのは、まださわりの部分に目を通しただけなので、
                  今後、どういう視点が入ってくるのか楽しみな本です。

                  もう1冊は、アカ族の刺繍の民族衣装の一部が表紙になっている
                  ミャンマーのすてきな手仕事をめぐる旅」という本。
                  ミャンマー(ビルマ)の民族や手仕事について、
                  写真たっぷりにまとめられた本です。
                  この本については、後日、もう少し内容をご紹介します。

                  この「ミャンマー…」も、2014年7月発行の新しい本なので、
                  初めて目にしたのだと思いますが、一般の本屋さんでも、
                  置いてあるところがあるのではないかと思います。

                  ここが、日本で一番のアジア専門書店だとすると(他を知らないのですが…)、
                  もう少し、マニアックな本があってもいいのかなぁと思ったりもしますが…、
                  それでも十分満喫して帰りました。

                  織り人
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                    流動する民族「ミェン族」

                    2014.07.30 Wednesday

                    今回のタイ訪問では、タイ・ルー族ミェン族の民族の起源、原点について
                    いろいろと知る機会がありました。

                    帰国後、だいぶ前に購入した本の存在を思い出し、引っ張り出してきてみました。
                    「流動する民族−中国南部の移住とエスニシティ−」という本。
                    以前から、”人の移動”ということに興味があり、購入した本でした。

                    目次をたどると、「中国からタイへ−焼畑耕作民ミエン・ヤオ族の移住−」
                    というタイトルが目に入ってきました。

                    もう一度読み返してみると、この章の著者である吉野晃氏が、
                    中国南部を起源とするミェン族が、焼畑をしながら移動を繰り返し、
                    タイ北部で村を形成してきた歴史を調査したものでした。

                    流動する民族

                    ここでは、焼畑以外の移住の要因として、”疫病や戦乱という緊急事態に
                    対処するため”ということを挙げています。

                    著者が調査をおこなったタイ北部ナーン県のミェン族の村は、
                    1960年代後半から1970年代前半にかけて、タイ北部において発生した、
                    タイ国軍と共産主義ゲリラとの内戦によって移住してきた人たちだそうです。

                    その村の周辺で戦闘が始まった1968年に、初めの5家族が移住をはじめ、
                    その親戚や、友人知人たちが集まり、新しい村が形成されていったといいます。

                    この時期に、同じような状況で出来上がった村は、タイ北部の山岳地域には、
                    ミェン族以外にもモン族やアカ族などの間でも多くみられます。

                    この調査では、村民たちがどういうつながりで集まってきているのかを、
                    細かく聞き取りし、移住歴図を作成しています。
                    ミェン族の人たちは、親族関係だけでなく、以前同じ村にいたなど、
                    親しい友人知人との関係が強く、個人主義的な指向性があるとしています。

                    こうしたミェン族の移住は、先祖代々おこなわれてきたもので、
                    口承だけでなく、祖先簿や文書として残されている家も多いといいます。

                    著者が調査をおこなった村では、中国の広西、雲南を起源とし、
                    ベトナム、ラオス、そしてタイへたどり着いたと書かれたものが、
                    多く残されていたそうです。

                    ミェン族の人たちの間で語り継がれているとうい神話「渡海神話」によると、

                    ”むかし、ミェン族が南京にいた時、大干ばつがあり、
                    それを逃れるために南京を脱出し、海を渡った。
                    神に助けられ広東に至り、その後、陸路であちこちに移動していった…”

                    こうした神話や口承、書き残された祖先簿、そして学校の入り口に描かれた
                    民族大移動の図
                    によって、これからも、ミェン族の人たちの”移動の歴史”が、
                    後世に伝えられていくのでしょう。

                    織り人

                    参考文献:「流動する民族 −中国南部の移住とエスニシティ−」
                          塚田誠之・瀬川昌久・横山廣子 編 平凡社
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                      月刊たくさんのふしぎ「わたしのスカート」

                      2014.07.09 Wednesday

                      福音館書店が1985年4月から発行している「月刊たくさんのふしぎ」。

                      小学生向けの月刊誌で、「自然や環境、人間の生活・歴史・文化から、
                      数学・哲学の分野まで、あらゆる“ふしぎ”を毎号1つのテーマについて考え」、

                      「さまざまな分野の第一線で活躍する著者が毎号、あらゆるテーマを、
                      常識やぶりの新鮮な切り口でとらえ、じっくり掘り下げていく」というというもの。

                      参考:福音館書店ホームページ

                      月刊たくさんのふしぎ わたしのスカート

                      2004年11月号(236号)は、モン族の麻布で作られたスカートのできるまで、
                      を取り上げた「わたしのスカート」。

                      ラオスのモン族の村で、麻の種まきから、麻糸づくり、機織り、藍染めの染料づくりから、
                      模様描き、藍染め…、モン族のすてきなスカートが出来上がるまでの様子を、
                      著者が、女の子の目線になって書いたものです。

                      月刊たくさんのふしぎ わたしのスカート

                      詳細なイラストで、モン族の民族衣装のスカートが、どうやって作られていくのか、
                      わかりやすく描かれています。

                      この本の舞台はラオスのモン族の村ですが、タイのモン族の人たちも、
                      同じように自分たちのスカートをつくっています。

                      月刊たくさんのふしぎ わたしのスカート

                      でも、この本にも書かれているように、ラオスだけでなくタイでは特に、
                      もう、麻を栽培することからやっている村は、本当に少なくなっています。

                      そんなモン族の伝統的な手しごとの様子を見ることができる楽しい一冊です。

                      *2004年出版ですが、Amazonなどで古書として、今でも購入が可能です。

                      織り人

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